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記事2001年11月23日 30号 (2面) 
「免許更新制」見送り
人事管理システム早急に確立へ
教員養成部会
 中央教育審議会初等中等教育分科会の教員養成部会(高倉翔部会長=明海大学長)は、十一月十九日、東京・霞が関の会館で第十三回会合を開き、「中間報告についての部会案」を審議した。審議内容がこれまでの「素案」から一歩進んで「中間報告についての部会案」として提示されたのは初めて。このうち審議の方向性が確定していなかった教員免許更新制の可能性に関しては、前回(十一月十三日)、集中審議が行われたが、実施は困難との判断は変わらず、部会案では「現時点におけるわが国全体の資格制度や公務員制度との比較において、教員にのみ免許状取得後に新たな知識技能を修得させるための研修を要件として課すという更新制を導入することは、なお慎重にならざるを得ないと考えられる」との表現となった。更新制導入を当面見送ることに関して、この日の審議でも大半の委員が「大筋ではいい」「今回の結論しかない」「妥当な判断だと思う」など支持を表明したが、同時に部会内では何度も何度も導入の可能性について検討、また文部科学省の事務当局とも研究を重ねた経緯がにじみ出るような表現にしてほしいとの意見が多く聞かれた。
 更新制導入を見送るに当たっては、その趣旨を生かして指導力が著しく不足する等、適格性に問題がある教員に関しては、これまで通り現行の分限制度等を的確に運用するため人事管理システムを早急に構築すること、教職十年経験教員に対する研修制度を創設することなどを提言している。ただし今回の部会案では各都道府県教育委員会の実情等が反映できるよう弾力的な運用を求めている。
 教員免許の総合化・弾力化に関しては、大幅な変更はなく、これまでに指摘された小学校教員の専門性に関してより丁寧な記述としたこと、学級担任と専科教員とのチーム指導の必要性などが追加記述された。
 教員免許の総合化に関しては、中長期的課題とする方針だが、今後の予定に関して文部科学省(事務局)は、新設する特殊教育総合免許の運用状況や実験校での調査研究等を見ながらという表記は可能との判断を示した。
 特別免許状の活用促進に関して特別免許状の授与要件で学士の学位を求めないなど提言内容に変更はなかった。この日、委員からさまざまな修正を求める意見が出されたが、修正に関しては部会長に一任することを決めた。今後は教員養成部会の上部組織である初等中等教育分科会で、一、二度審議したうえで総会にはかり、年内に中間報告を、年度内に答申をまとめることにしている。

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