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記事2001年11月23日 30号 (2面) 
優れた研究者を養成
中教審部会等の審議の動向
大学院における幅広い知識の習得など
大学の構造改革討議
 中央教育審議会大学分科会と科学技術・学術審議会学術分科会合同の大学改革連絡会は十一月六日、東京・霞が関の文部科学省別館(郵政事業庁庁舎)で第四回会合を開き、優れた研究者の養成・確保と大学の構造改革の在り方の二つを議題に話し合った。
 優れた研究者の養成・確保については、これまで科技・学術審総会および学術分科会で話し合われてきた。研究者養成に関する主な論点は、大学院が持つ研究者養成の機能の向上について▽高度専門職業人養成とのバランスなどの観点からどう考えるべきか▽学問の発展に対応する問題発見型の研究者を養成するために、大学院において幅広い知識の修得と資質向上がなされているか▽大学と社会との間で、求める研究者の資質やその分野バランスにミスマッチは起きていないか。研究者のキャリア・パスと流動化に関しては▽若手研究者を支援する各種施策が大学、産業界、国研等における研究者としての就業に反映しているか▽大学院博士課程学生(DC)、ポスドク(PD)の資質や適性を踏まえた活躍の場が大学や社会に十分あるか▽人材の流動性は十分高まっているかが主な論点。この日の会合では、委員からは「文系の大学院は相当思い切った縮減をして充実を図った方がいい。大学院専任の教師を置いて、院の数を減らし、少数精鋭にすべきだ」(山崎正和・東亜大学長)と、文系大学院の現状を厳しく問う意見や「オーバードクターの受け皿の問題が心配だ。企業、シンクタンクが引き受けないとパニック状態になる」(石弘光・一橋大学長)と、理系のオーバードクターを企業などで積極的に人材活用してもらうよう促すべきだとする意見などが出た。
 大学の構造改革をめぐっては、文科省の「トップ30大学」構想をめぐって意見が交わされた。石弘光氏は国立大学の立場から「博士課程を持たない地方の国立大学にはエントリーさせてもらえないと、わき立つ不満がある。別途の支援措置を講じるべきだ」と発言。これに対して山崎正和氏は「従来、大学はヨコの多様化を図ってきたが、タテの多様化を推進しようというのが今回の構想だ。この中に平等主義を導入してはいけない」などと自説を展開した。また、内永ゆか子・日本アイ・ビー・エム株式会社常務取締役は「審査委員会が選定を行うということだが、ある程度のフレームワークを決めておかないと客観的にならない」と指摘。阿部博之・東北大学総長も「“土俵”に上がった人から見て、信頼のおける審査でなければならない。アメリカのCOEには透明性がある。選ばれた理由と選ばれなかった理由を文科省がきちんと説明しないといけない」と、審査の在り方に注文を付けた。

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