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記事2001年11月23日 30号 (2面) 
短大における教育改革の再位置づけ
日短協・教務担当者研修会
短大教育再確立の 視点
カリフォルニアプラン、教養教育、地域が課題
 日本私立短期大学協会(川並弘昭会長=聖徳大学短期大学部理事長・学長)は十月二十四日から三日間、神戸市中央区の新神戸オリエンタルホテルで「平成十三年度私立短大教務担当者研修会」を開催した。初日は、現在、中央教育審議会大学分科会委員を務める、関根秀和・大阪女学院短期大学学院長・学長が「短期大学における教育改革の再位置付け激変する教育システムの中で」と題し、今後の高等教育の構想をめぐる文部科学省の政策動向になどについて講演した。
 関根氏は〈大きな物語〉が終焉した世界、日本の中で、今後の高等教育について文部科学省が描いているグランドデザインは、一般市民のための教育とグローバル化に対応する国際通用性のある人材の育成という二極化の方向だと指摘。大学評価に関しては、一九九一年の大学審議会答申以後、自己点検・評価の義務化、相互評価と進み、これから行われようとしている第三者評価は、明らかに資源配分と結びつく方向として位置づけられていると述べ、いずれ自己点検・評価、相互評価もそうならざるを得ないのではないかとの見方を示した。
 こうした状況の中で短大教育の再確立を行うための視点として、(1)カリフォルニアプラン(2)アーティキュレーションと教養教育(3)地域の三点を挙げた。(1)については、カリフォルニア州がユニバーサル・アクセス型大学のコミュニティーカレッジ、マス型大学の州立大学、エリート型大学のカリフォルニア大学の三つが並立し、全米でも最も充実しているが、文科省の施策もこれを汲む形となっていると述べた。そのうえで、パートタイム学生制度を設けさえすれば十八歳人口以外の新しい層の学生が入学してくるという、安直な期待を戒め、単位制度の趣旨の徹底、本物のシラバスの確立など、いまの制度の中で充実した教育を行うことが重要だと述べた。(2)については、教養教育を再構築しないと二年制の大学は存在価値を持てなくなるとし、文化的多元化が進む社会に貢献できる教育へ備える必要性を示唆した。
 (3)については、地域の抱えている問題に対応できる市民形成が今後の課題だと強調。短大が自治体・地域団体と協力関係を構築し、市民形成、地域社会形成に資する場として、「地域(社会)研究所」を設け、「地域科学総合学科」といった形態の学科を設置することが考えられると指摘した。
 また、日短協教務研究委員会委員長の坂田正二・呉大学短期大学部理事長・学長は開会あいさつに引き続いての講演の中で、パートタイム学生制度は、従来の原則抑制という一元的政策に加え、高等教育の普及拡大政策というダブルスタンダードも認めたところに教育制度上の意義があると評価。いまからニュースチューデントへの対応、編入学など、予想されるさまざまな問題への準備にとりかかるべきだと促した。

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