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記事2001年11月23日 30号 (1面) 
財政難影響し、奨学金を圧迫
自治体等の奨学事業調査結果 文科省
前回調査比で215億円減額
奨学生6万人強減少
 文部科学省はこのほど、公益法人や地方公共団体、学校等が実施している育英奨学事業の実態調査結果を公表した。それによると、平成十一年度現在、全国で奨学事業を実施している事業主体は三千三百九十二あり、奨学金の給付・貸与を受けている学生生徒数は二十三万九千二百十二人、年間奨学金総額は約六百三十五億円に上るものの、いずれも前回(平成七年度)調査時と比べて大幅に減少していることなどが明らかになった。今回の調査結果は大幅減少の原因には触れていないが、背景には地方自治体等の財政難が考えられる。
 この調査は、公益法人、地方公共団体、学校等の行っている育英奨学事業の実態を明らかにすることなどが目的。調査対象は、高校、高等専門学校、短大、大学(大学院含む)、専修・各種学校等に在学する学生・生徒に対し学資金の給・貸与を行っている奨学育英事業団体等。ただし日本育英会の事業、国が特定の目的をもって直接行っている事業、地方公共団体が国の補助により行っている事業は対象外とした。
 今回の調査結果によると、平成七年度と比べて、事業主体は三二・七%(千六百五十)、奨学生数は二一・七%(六万六千百九十六人)、年間奨学金総額は二五・三%(約二百十五億円)それぞれ落ち込んでいた。事業主体の減少は地方公共団体や営利法人、個人・その他などの減少が大きかったためで、その中でも大きな比率を占める地方公共団体は事業主体を前回時と比べて千二(四九・五%)も減少させていた。そのため、全体に占める比率では「学校」が三六・一%に上昇、最多となった。奨学金の支給形態をみると、給与タイプが全体の五六・二%を占め最も多く、貸与タイプは三八・五%、両者の併用タイプが五・三%だった。
 地方自治体等の財政難などから奨学金総額などは減ってたものの、逆に給与タイプの比率は四九・八%から五六・二%へと上昇していた。学校関係の事業主体では給与タイプが六九・五%を占め主流だが、地方公共団体では貸与タイプが六八・一%で最も多い。
 奨学生数では二十三万九千二百十二人中、高校生が十一万二千六十三人、大学生が七万八千五百八十人で、両者で七九・七%に達する。この調査では高校生が全体の半数近くを占めているが、日本育英会の奨学金では全奨学生の六一%を大学生が占め、これに大学院生、短大生を加えると七七・四%に達し、高等教育重視の傾向にある。日本育英会の奨学金を受けている高校生は約九万七千人で全体の一六・四%。
 学校種別の平均奨学金月額は、大学院で約三万八千円、大学で約三万三千円、短大で約二万八千円、高等専門学校で約二万一千円、高校で約一万三千円、専修学校で約二万九千円などとなっている。また奨学生の選考重視基準は、学力と家計を同程度にみるという事業主体が全体の五二・八%を占め、最も多かった。

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