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記事2001年11月13日 29号 (2面) 
企業の採用と短大教育現場をテーマに
意欲高めるカリキュラムなど 短大の取り組みに期待
日短協就職担当者研修会
 長引く景気後退によって労働市場が厳しさを増し、企業の人事政策にも変化が見られる中、日本私立短期大学協会(川並弘昭会長=聖徳大学短期大学部理事長・学長)は十月二十二日から三日間、大阪市淀川区の大阪ガーデンパレスで「平成十三年度私立短大就職担当者研修会」を開催した。研修会初日は、「企業の採用状況と短大の教育現場に求めるもの」というテーマで、三井住友銀行の畑秀行・人事部採用教育グループ上席部長代理、阪急百貨店の永田靖人・人事室人事・採用担当部長がそれぞれ基調講演を行った。

 畑氏は本年度の採用を振り返って、短大生の就職状況は求人倍率以上に厳しかった、地域経済の状況を反映して関東よりも関西に特にその傾向が強かったようだと分析。金融界では短大生の採用を微増させているとしながらも、ここ数年の短大と四大の求人倍率推移を示して、他の業種では企業の短大離れが進行しているのではないかと指摘した。企業から見た、四大生との比較による最近の短大生についても辛口の批評が続いた。学力試験の結果からは、短大生の学力低下は否めないとし、四大生と比較すれば、自己表現、自己分析の深みといった二年間の人生経験の差を埋めるのは容易ではないとも述べた。そのうえで短大には、就職意欲を高めるカリキュラムを導入する、質の高い資格を取得させるなどの取り組みに努めるべきだと求めた。
 永田氏は百貨店という業態自体が成熟期に入った中、売り場の自前化など事業の構造改革、「販売」を軸にした人事制度の再構築に取り組んでいると報告。採用方式は、四大生を採用対象とした総合職、短大生を対象とした販売職、スカウト採用によるプロの販売職の三部門別に行う職種別採用とし、販売職に関しては店舗別、カテゴリー限定で採用活動を実施。販売職には知・徳・体に加え、感性、コミュニケーション能力を求めているとした。短大の就職担当者には、学生の就職活動準備段階ではナビゲーター的役割を、実際の活動時期においてはサポーター的役割を果たしてほしい、と話した。
 就職支援に関する事例紹介も行われた。関西外国語大学短期大学部の谷元光之・就職課長補佐と湘南短期大学の近藤章雄・キャリアサポート課長がそれぞれ就職支援の現状について発表。谷元氏は学生個人ごとの状況の把握、対話、指導の必要性が大きくなってきたため、教員から学生に各クラスで就職関連行事への参加を呼び掛けるなどの協力を仰ぐとともに、学内で基礎学力評価試験を実施していることを報告。個人指導、企業への推薦時のデータとしては有効だと述べた。コンピュータによる学生情報、求人情報の一元的収集、管理・配信のシステム構築にも取り組んでいるとした。近藤氏はSPI試験のCD―ROM化など就職ガイダンスに工夫を加えていることなどを報告した。



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