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記事2001年11月13日 29号 (1面) 
私学審議会の役割 重要性を再確認
審議会の重要性訴え「富山大会宣言」採択 全審連総会
準則主義に警鐘
小中学校設置認可専門知識、経験は不可欠
 全国私立学校審議会連合会(酒井A会長=東京女子学院中学高校長)は、十一月八・九の両日、富山市内のホテルで総会を開き、政府の総合規制改革会議が私立小・中学校の設置認可に際して準則主義の導入や、設置認可の是非等を検討する私学審議会の見直しを求めた問題等を討議した。その中では、「設置認可の安易な準則主義化は結果、過当競争を招き、子供達に不利益をもたらしかねない」「審査する側に専門知識経験は不可欠」等の意見が出され、参加者全員で同審議会の重要性をアピールした「富山大会宣言」を採択した。
 私学審議会の在り方の見直し等の問題は、総合規制改革会議が七月二十四日の「中間とりまとめ」の中で私立小・中学校の設置促進に絡んで指摘したもの。教育の多様化や競争環境を作り出すために、設置基準を満たしていれば認可する「準則主義」を採用する一方で、知事の諮問に応じて設置認可の是非等を専門家の立場から検討する私学審議会の在り方を見直そうというのが提言の趣旨。
 私立小・中学校にかかわる問題ということから、総会では特に小・中・高校問題を話し合う部会で集中的な審議が行われた。同部会では「委員構成が問題のようだが、委員は専門的な知識が求められる。認可した学校が開校前につぶれた事例があったが、(専門的な知識を持つ)私学審議会の本領をますます発揮すべきだ」「形式的な要件を整えて申請、認可していてはそうした問題が起こりかねない」「私学審議会の委員構成は各都道府県に任せればいい」「私学審議会委員は設置認可に当たって現地調査を行い、(長い経験から)申請者の言っていることや教育環境などを判断、(必要に応じて申請者に)要望なども出している」などの意見が相次ぎ、私学審議会の役割の重要性が再確認された。今後、酒井会長は、十一月十五日に予定されている総合規制改革会議・教育ワーキンググループの意見聴取の席で安易な準則主義化では問題が起こりかねないことや私学審議会が果たしている役割などについて同会議委員の理解を求めることにしている。
 また私学審議会の情報公開の状況についても情報交換・協議等が行われた。各都道府県からは公開・非公開の判断基準、会議の運営方法、配布資料、議事録の取り扱いなどが報告された。それによると、私学審議会に関しては原則公開だが、個人や法人のプライバシーにかかわることについては非公開としている自治体が多かった。
 このほか小・中・高校関係の部会では一部の私立通信制高校に教育上適正を欠く状況が見られることや、生徒減少期の中で東京都や神奈川県、香川県などで導入された標準的運営費方式が必ずしも私学助成の維持・増額につながっていないこと等が、生徒減少期における私学振興策の討議の中で報告された。他の部会では専修学校制度の改善(名称使用の制限緩和)、専門学校における留学生受け入れの環境整備、地域の幼児教育センターとしての子育て支援策、幼稚園と保育所の統合による施設の共用化等、幼稚園を設置していない学校法人が保育所を設置運営する場合の取り扱いなどが討議された。また酒井会長の再選が決まった。

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