こちらから紙面PDFをご覧いただけます。



全私学新聞

TOP >> バックナンバー一覧 >> 2001年10月3日号二ュース >> VIEW

記事2001年10月3日 25号 (1面) 
設置基準策定で 中高連 日私小連から意見徴収
基準は基本にとどめ、弾力化
都道府県に任せ緩和必要
子供達への影響に十分な配慮を




高校の基準見直しも
国公私立間の学費格差が増設阻む要因
文科省に要望

 今年三月に閣議決定された「規制改革推進三か年計画」などに沿って小学校と中学校の設置基準作りを進めている文部科学省は、九月十九日、文部科学省分館内の会議室で日本私立中学高等学校連合会と日本私立小学校連合会から設置基準策定に関する意見を聴取した。ヒアリングには同省から加茂川幸夫・大臣官房審議官(初等中等教育局担当)、辰野裕一・初等中等教育企画課長、布村幸彦・教育課程課長、山根徹夫・私学行政課長らが出席、中高連からは酒井A・副会長(東京女子学院中学高校理事長・校長)、日私小連からは武田博信・副会長(トキワ松学園小学校長)が出席、意見を発表した。

 この中で酒井会長は、提出した意見書に沿って各都道府県での諸条件がそれぞれ異なっていることを踏まえて、全国共通の基準は基本的な条件にとどめ、それ以外は都道府県に委ねること、新基準は新設校だけではなく既設校にも適用し学校教育全体の再活性化に資すること、同一県内でも地域による弾力的な運用を可能とする仕組み、中高一貫教育が増えていることを考慮し、小・中学校の新基準との整合性を保つ観点から高校の設置基準についても条件の緩和・弾力化の方向で再検討を行うこと、設置基準の検討では子供たちへの影響に十分な配慮を行うこと等の必要性を訴えた。
 意見発表に次ぐ質疑応答では、「私立学校を設置しやすくすると、私学間に過当競争を招き、教育条件の低下につながる恐れはないか」など意見が出された。これに対して酒井会長は、一部の通信制高校の実態を挙げて、「単なる企業感覚で学校が設置できる程度まで設置基準を自由化することはいかがなものか」とし、また現実問題として国公私立学校間の学費等の経済的負担格差があるうちは、私学の増加は難しいとの考えを示し、こうした状況が国民全体にとって良いことかどうか、今後の課題として検討してほしいと文科省側に要請した。
 一方、武田副会長は義務教育諸学校の設置基準は、最低要件を定めるものとして(水準の維持・向上策は別に定める)、設置基準の適用は新設校はもとより既設校にも及ぶこと、設置基準の策定は、各都道府県の実情にあわせ、安全、より適切な学習空間とするよう大綱化・簡素化を図ること、今回の設置基準制定に合わせ他校種の設置基準の根本的再検討を求めた。小・中学校にかかわる国の設置基準はこれまでになく、各都道府県では高校の基準を準用したり、独自の基準を策定していた。政府の教育改革国民会議や総合規制改革会議等でも設置基準を明確化し多彩な教育理念に基づく私立学校の設置促進の必要性を指摘していた。
 設置基準に関しては今年度中の策定が決められており、中教審でも検討が予定されている。文部科学省では検討の参考資料とするため近く各都道府県の設置認可基準の内容、学校別の校地・校舎運動場の所有・借用状況、校舎から離れた施設の状況、教室の種類・数等を調査する。

記事の著作権はすべて一般社団法人全私学新聞に帰属します。
無断での記事の転載、転用を禁じます。
一般社団法人全私学新聞 〒102-0074 東京都千代田区九段南 2-4-9 第三早川屋ビル4階/TEL 03-3265-7551
Copyright(C) 一般社団法人全私学新聞