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記事2001年10月23日 27号 (1面) 
パートタイム学生の受け入れ
一年制専門大学院討議
中央教育審大学分科会
 中央教育審議会の大学分科会は十月十日、東京・霞が関の文部科学省別館で第四回分科会を開いた。この日はパートタイム学生、専門大学院一年制および通信制博士課程について自由討議を行った。また、文部科学省から、これらの課題に関して、これまでの議論を踏まえた、主な論点についてまとめた資料が提示された。
 パートタイム学生に関しては、社会人がパートタイム的に学びながら学位を取得できるよう、大学において正規学生としてパートタイム学生を受け入れられるようにすべきではないか、というのが議論の方向。主な論点としては、どのような形態で履修する人をパートタイム学生として扱うかという定義について、パートタイム学生受け入れに当たっての配慮事項は大きく二つ。専門大学院一年制については、社会人が短期で集中して高度な専門職業教育を受ける機会を拡大する観点から、専門大学院に一年制を導入することがふさわしいとの方向。論点は(1)入学対象者(2)教育分野(3)教育方法、修了要件(4)教育水準の確保、評価システムの四つ。通信制博士課程についても社会人が修士課程における学修の成果に基づき、継続してより高度な教育研究を行う機会を拡大する観点から、その設置を認めることがふさわしいとの方向。論点は(1)教育分野(2)教育方法、研究指導(3)教育水準の確保、評価システムの三つ。
 自由討議では、パートタイム学生について、島田{Y子・文京女子大学長が、私立大学にとっては定員をどうカウントするかが問題だとし、パートタイム学生は短期大学の場合、入学後初めの二年、四年制大学の場合は四年を計上することにしてはどうかと指摘。猪口邦子・上智大学法学部教授は、労働市場が流動化する中、社会人のパートタイム学生受け入れは好ましいと述べた。

トップ30大学で高水準の教育 先駆的貢献めざす

 専門大学院一年制、通信制博士課程をめぐっては、中嶋嶺雄・前東京外国語大学長が、現行の大学院制度の下、多くの大学で博士課程が設置される中で、入学定員を充足できず、一人の博士も出していない大学院もあると指摘。国公私立を通じて大学院の実態調査を行うべきだと提言した。井村裕夫・総合科学技術会議議員は、一年制ならさらに社会人が学びやすくなるとして導入すべきだと述べた。しかし、それによって大学院全体のレベルが低下することは避けなければならないと、二年制課程と同等の教育研究体制の充実が図られているか、認可の際にチェックすべきだとした。
 大学の構造改革(トップ30大学案)をめぐっても討議が行われた。猪口氏は、自国内で世界最高水準の教育を受けられることは重要だとし、特に人文・社会科学分野が国際的な問題で先駆的な貢献ができることを目指すべきだと指摘。トップ30の選定が誤った場合の責任体制の明確化が必要だとも述べた。
 内永ゆか子・日本アイビーエム株式会社常務取締役は、トップ30大学案では二年間で十分野を選定することになっているが、これほど多くの分野で世界に伍していけるのかと疑問を投げかけ、選択と集中の必要性を指摘した。

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