こちらから紙面PDFをご覧いただけます。



全私学新聞

TOP >> バックナンバー一覧 >> 2001年10月13日号二ュース >> VIEW

記事2001年10月13日 26号 (9面) 
新校長インタビュー (36) ―― 聖心女子学院中等科・高等科
校長 奥井 博子氏
知性磨き、魂育て、実行力養う
体験通し人間教育


 都心にありながらも、美しい緑に囲まれた聖心女子学院(東京都港区)。同学院中等科・高等科の奥井博子校長は「私学としての聖心の特色を出すような教育方針で望みたい」と抱負を語る。
 その教育方針は(1)知性を磨く(2)魂を育てる(3)実行力を養うという三つの柱から成り立っている。
 「知性を磨く」という点では、思考力と判断力を身につけるために、特に表現力(作文力)を重視し、どの授業でも書くことを多く取り入れている。昨年実施された“文の甲子園”では、三人が優秀賞に輝いた。
 「魂を育てる」宗教教育はキリスト教の愛の精神に基づく女子教育が源流となっている。宗教的な行事はもちろん、宗教の授業を通して心の豊かさや思いやりの心をはぐくみ、生徒の魂を揺さぶるような教育を実践している。
 「海外の姉妹校から来るシスターから朝礼などで世界中のニュースや出来事を直接に聞くことができます。生徒が社会的意識を高め、世界に目を向けてくれる一因になってくれればと思っています」(奥井校長)
 「実行力を養う」点が最もよく表われているのが、奉仕活動や体験学習だ。中学一年から高校三年までの六年間に特別養護老人ホーム訪問、高校三年では保育園での体験学習、さらに身障者施設やアメリカでのワークキャンプ、フィリピンや韓国への体験学習などが行われている。
 アメリカ・ワシントン州シアトルでの体験学習は七月三十日から八月十三日まで六人が、老人ホームやホームレスのためのシェルターなどで奉仕活動をしてきた。
 フィリピンでは七月二十三日から八月二日まで、二人の生徒が現地の高校・大学や修道院などを訪問した。
 韓国では、韓国の文化、社会などを学び、生徒相互の交流を通して、「小さな外交」を実践してきた。
 これらの様子は中学三年生から高校生までが講堂で集まって行われる体験学習発表会で報告される。ここで、生徒は体験を分かち合うと同時に、社会意識を高めていく。
 奥井校長は「初等科で中高一貫教育の良さを体で感じ取り、中等科―高等科の六年間で理論付ける。十二年を通してゆっくり、じっくりと進め、それぞれの特徴を大事にしていきたい」と、聖心の人間教育を重視する。
 教職員の研修も大事にし、姉妹校四校とともに初任者教員を対象に三泊四日で同学院の教育方針、授業の進め方などを学ぶ。

記事の著作権はすべて一般社団法人全私学新聞に帰属します。
無断での記事の転載、転用を禁じます。
一般社団法人全私学新聞 〒102-0074 東京都千代田区九段南 2-4-9 第三早川屋ビル4階/TEL 03-3265-7551
Copyright(C) 一般社団法人全私学新聞