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記事2001年10月13日 26号 (1面) 
小学校の専科指導充実
中高教員による指導拡大 他の校種免許状取得も促進
教育免許状の総合化は先送り
特殊教育に限り「総合免」創設
中教審教員養成部会が「素案」

 教員免許制度の見直しを進めている中央教育審議会初等中等教育分科会の教員養成部会(部会長=高倉翔・明海大学長)は十月九日、東京都内の会館で第九回会合を開き、来月にもまとめる「中間まとめ」の素案について審議した。素案は教員免許更新制導入の是非を除き教員免許状の総合化・弾力化等に関し改革案を示したもの。このうち総合化については特殊教育諸学校を除き当面は先送りする一方、弾力化に関しては、現職教員が隣接する学校種の免許を取りやすくする制度の創設、小学校での専科指導の充実などを急ぐ。そのほか専修免許状の再構築、特別免許状の授与要件の緩和などを行う予定。
 
 この日は、過去八回の審議内容をもとに高倉部会長と中教審事務局(文部科学省)が作成した素案が提案された。諮問事項の一つである教員免許更新制導入に関しては、意見に隔たりがあるとして今回の素案には盛り込まれなかった。ただし十月三十日の次回会合で教員免許更新制に関する素案審議を行う。
 教員免許状の総合化・弾力化に関しては、総合化は制度の根本を変更するもので、平成十年の免許制度改正からまだ間もないことなどから、幼・小・中・高校の免許状の総合化は、教育要領、学習指導要領の構造分析を含め、専門的、学術的調査研究を進めた後の検討、中長期的課題としている。ただし特殊教育諸学校に関しては、障害を持つ児童生徒等の重度・重複化等の課題に対応するため、盲、ろう、養護学校に区分されている免許状の総合化は早急に行う意向。
 一方、弾力化は、早急に実現すべきものとして、中学校教諭免許状等による小学校専科担任の拡大を行う。これまで音楽や美術などに限って認められていた措置を、小学校の教科指導で専門性の高い教員を確保するなどの観点から、例えば中学、高校の理科の教員が小学校の理科を、中学、高校の数学の教員が小学校の算数を、中学、高校の外国語、情報の教員が小学校の総合的な学習の時間を担当できるようにする方針。
 特殊教育に関しては、特殊教育総合免許状の創設を提案しており、具体的には教員養成部会内に専門委員会を設けて検討を進める。特別免許状に関しては、社会人活用が進むよう、免許状の授与要件から学士の規定や免許状の有効期限などを撤廃し、任用・雇用を前提としない免許状の授与を行うなどを提案。専修免許状に関しては現行の学校種別ではなく、専攻分野別の区分(=得意分野、例えば理科教育、環境教育など)への移行等を求めている。
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