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記事2001年1月23日 2号 (1面) 
3月末までに科学技術基本計画
私大大学院への助成充実へ
総合科学技術会議が初会合
 政府の科学技術会議(議長=森喜朗総理大臣)は昨年十二月二十六日、平成十三年度から十七年度までの今後五年間にわたる第二期科学技術基本計画のあり方に関する答申をまとめ、森総理に提出した。答申をまとめた科学技術会議は省庁再編により廃止となり、次期科学技術基本計画づくりは、今年一月に発足した総合科学技術会議(議長=森総理)に引き継がれた。同会議は今年三月末までに新しい科学技術基本計画を含む総合戦略を策定する。同会議は一月十八日に初会合を開いた。初会合では専門委員と五つの専門調査会の設置を決めた。委員名、配属は未定。今後月一回程度のペースで審議し、三月末答申をまとめる。
 十二月末の答申では、第二期(五年間)の政府研究開発投資の総額は、GDP(国内総生産)比率で欧米主要国の水準を確保できるよう一期の十七兆円を上回る約二十四兆円とする。ただし我が国の財政事情が主要先進国中最悪の状況となっていることなどから、毎年度の予算編成に当たっては、資金の重点的・効率的配分などに考慮して必要な経費の拡充を図っていく。
 今回の答申によると、科学技術政策の基本的な方向に関しては、我が国が目指すべき国の姿として、(1)知の創造と活用により世界に貢献できる国(2)国際競争力があり持続的発展ができる国(3)安心・安全で快適な生活のできる国としている。
 具体的には(1)に関して、国際的にインパクトの高い論文の比率が増えること、ノーベル賞に代表される国際的科学賞の受賞者を欧州主要国並みに輩出(五十年間にノーベル賞受賞者三十人程度)、優れた外国人研究者が数多く集まる研究拠点が相当数できることとしている。
 (2)に関しては、TLO等の技術移転機関が質的量的に充実し、公的研究機関から特許の移転が進むこと、国際的な特許の登録件数が増加することなどを、また(3)に関しては、オーダメード医療を可能とする科学的・技術的基盤の形成、地震・台風等の自然災害の被害が最小限に抑えられること、バイオテクノロジー等の活用による良質な食料の安定的供給確保などを目標に掲げている。
 こうした目標実現に向け大学は中心的な役割を担うとしており、国立大学等の施設は特に不十分な状況にあることから重点を定めて改善すること、私立大学に関しては大学院の充実など教育研究機能を強化する観点から、重点的配分を基調として助成の充実を図るとともに、多様な民間資金の導入を促進するための所要の条件整備を行うよう求めている。
 このほか大学学部・短期大学に関しては、教養教育の充実、主体的課題解決能力育成のために専門教育の教育方法の改善などを求めており、高校教育に関しては、観察・実験・体験学習を重視した理科等の教育内容の充実、社会の変化等に適切に対応した産業教育の振興のための実験・実習施設・設備の充実の必要性を指摘している。
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