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記事2001年1月23日 2号 (7面) 
新校長インタビュー (15) ―― 東洋英和女学院高等部
部長 吾妻 國年 氏
基本は心性の育成
母たりうるための女子教育を


 昨年四月、東洋英和女学院(東京都港区)高等部の部長(校長)に教頭の吾妻國年氏が就任した。
 吾妻校長は「ミッションスクールである本校は、まず神を敬い、自他を尊重し、他人を思いやり仕える〈心性の育成〉に重点を置いています」と基本方針を語る。
 魅力的な学校づくりは、中学段階からの「基礎学力(国語・数学・英語)を充実させ身につけさせることを土台に、生徒一人ひとりの個性・能力をいかに発揮させるかにかかっている」。
 「いわゆる五教科がオールラウンドにできるのは望ましいが、生徒によっては平板化の弱点や力の分散消耗・マイナス効果ともなる。その後の学問研究、職業また人生でも、何もかもに取り組んでいくことはほとんどない。従って各生徒が自己の能力・特性・志向性を自覚し十二分に伸長させ、自信をもって生きることを可能にする知識・教養・技能および経験を〈構造的に〉習得できる特色あるカリキュラムを再構築していきたい」
 同校長が指定校および一般推薦生徒たちとの個人面接で「六年間で自分が人間として成長した場面はどこか」と質問した。生徒たちは異口同音に、生徒会やクラブ活動で自分が主体的に計画し責任をもって取り組んだ体験を挙げたという。
 「生徒はこのような人間的かかわりでの成功や失敗、葛藤や苦悩、そして仲間との喜びの体験などを通して成長していく。教場での教科書と演習の蓄積によって単に学力・偏差値だけを上げても人間としての真の成長はおぼつかない。本校では〈生きる力〉を養う場面として生徒会クラブ活動や野外別教育活動を今後も重視していきたい」
 情報化時代への対処について「積極的に取り組んでいくが、情報化のスピード・情報の洪水の中で、絶えずケイタイ電話にしがみつく若者に象徴されるような外部志向性の時代傾向は問題。内面性の深化と精神的価値判断の確かな人格の育成がますます重要になってくる」。女子教育・女性像について吾妻校長は「男性の真の自立の実現は、実は女性が真に自立することにかかっています。また社会や歴史を精神的に創造的に変革進歩させた偉大な人々の母親は、宗教的敬いに富む愛情深く賢明な女性たちでした。〈母なるもの〉の深い影響力を考える時、〈女性の自立〉と良い意味での〈母親たりうる〉ための教育は女子教育の目的そのものです」と強調した。
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