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記事2023年2月23日 2604号 (6面)
千葉商科大学の取り組み
創立100周年に向けて学生がワインを醸造
持続可能な社会へプロジェクト推進

 千葉商科大学(千葉県市川市、略称:CUC)のCUC100(ワンハンドレッド)ワイン・プロジェクトはこのほど、キャンパス内で育てたブドウを使用した「CUCオリジナルワイン」の第1弾が完成した。大学キャンパス内で栽培したブドウでワインを醸造したのは同大学が千葉県で初となる。


 同プロジェクトは学内の遊休地を利用し、学生が栽培した千葉県市川市産ブドウ100%のワインを2028年の創立100周年までに醸造することを目指し、2019年1月に発足した。初期資金はクラウドファンディングで調達し、支援総額は2カ月で337万9千円(支援者185人)になった。


 同年3月に植えたブドウの苗は6本(現在12本)で、品種は赤ワイン用のマスカット・ベーリーA。5年後の収穫量は250〜300キロ/年(1キロで720ミリリットルボトル1本に相当)を予定している。


 3年目の2021年9月には収穫直前の台風や鳥獣などの被害で全滅したものの、2022年に対策を講じ、同年9月に栽培開始4年目で初めてブドウを収穫した。学生が摘み取ったブドウはワイン造りを指導している白百合醸造梶i山梨県甲州市)に運ばれ、選別した結果、収穫量は46キロとなった。これに山梨県産のブドウを加えて300キロ、720ミリリットルボトル300本分を醸造し、すっきりとした辛口のワインが完成した。


 同プロジェクトは持続可能な社会づくりに貢献するため、圃場にはソーラーシェアリング(営農型太陽光発電)設備を導入し、発電した電力を作業小屋の冷暖房や小型電気自動車、外灯などで使用している。学食で出た食品残渣を堆肥として利用し、食のリサイクルも実現した。学生が近隣の児童や保護者を招き、圃場見学や体験型イベントを実施して地域交流の場にもなっている。野菜も栽培し、市川市内の子ども食堂へ提供している。


 現在、同プロジェクトには82人の学生が参加し、ワイン造りの他、養蜂などのさまざまな活動に取り組んでいる。


 2月7日に同大学で開催された「CUCオリジナルワイン完成披露会」で同大学の原科幸彦学長は「農業とエネルギー生産のコンビネーションによる同プロジェクトは日本の将来を明るくする」と述べた。


 同プロジェクト代表の谷路桜乃さん(同大学商経学部2年)は「これからも自分たちの思いを込めて活動に取り組んでいきたい」と意欲を示した。


 同プロジェクト前代表の小西俊太郎さんと、前栽培局長の落合信道さんによる同プロジェクトのブドウ栽培と同ワインの説明に続き、白百合醸造の内田多加夫社長は「今回完成したワインには苦労してブドウを栽培した学生の魂が込められている」と話した。


 また、学内で公募した同ワインのネーミング・ラベルデザインの最優秀賞を発表。商経学部1年の平岡知樹さんの作品が選ばれ、平岡さんに同大学を運営する学校法人千葉学園の内田茂男理事長から表彰状と副賞が手渡された。ネーミングは生産地の自然環境・地域性を取り入れた「Vignobles sur le campus」(フランス語で学内のぶどう畑)で、ラベルは大学構内の写真を使用し、ヴィンテージ風の意匠となっている。


 同プロジェクトの今後の展開については担当教員である人間社会学部の和田義人教授が説明し、「現在の第一農場に加え、第二農場活用への取り組みが始まっている。学生がネットワークを生かし、プロジェクトを進化させていくことに期待してほしい」と述べた。


 なお、同ワイン200本は2月13日から限定販売されている。1本(720ミリリットル)5800円(税込み)で、鰍bUCサポートのウェブページ(https://www.cuc-support.com/goods.html)、または電話(0473739784)で受け付けている。


谷路さん(左)と原科学長(右)


完成したCUCオリジナルワイン

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