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記事2022年11月3日 2594号 (6面)
近畿大学の取り組み
大学発ベンチャー企業を生み出す拠点開設
起業にチャレンジするきっかけを創出

 近畿大学(大阪府東大阪市)は10月20日、同大学発のベンチャー企業を生み出す拠点として「KINCUBA Basecamp(キンキュバ ベースキャンプ)」を開設した。


 同大学は起業支援の取り組みを強化しており、2022年4月から同大学発ベンチャー起業支援プログラム「KINCUBA」を始動させ、2025年までに100社の大学発ベンチャー企業を創出することを目指している。今回、同プログラムの推進拠点として東大阪キャンパスの西門前に開設した同施設は24時間利用可能で、入館時の顔認証システムの導入や、夜間見回りの実施、防犯カメラの設置などによって、いつでも安心して利用できる。一般的に法人登記には住所登録が必要になるため、同施設の住所を用いて登記可能とし、起業しやすい環境をつくる。


 グランドコンセプトは発想の「芽」が未来に向かって広がってほしいという「想い」から「Soil(土壌)」「Grow・Seeds(育成)」「Launch(始動)」とした。これを実現するために「Identity(同大学らしさの継承)」「Temporary(実験的な仮設)」「Flexible(変化に対応できる柔軟性)」をデザインコンセプトとし、アイデアとつながりで新しい価値が生まれる場を目指した。


 1、2階のコワーキングスペースは全席可動式の机と椅子を配置したオープンスペースで多様な利用目的に対応可能。スタッフが不在となる時間もあることから、死角をなくし、打ち合わせスペースには透過性のあるビニールカーテンを設置した。1階にはバリアフリートイレがあり、利用者が安心して使える施設となっている。


 イベントスペースは大型のプロジェクタースクリーンや、可動式の音響操作卓を備える。階段式の座席もあり、着席で約50人のイベントを実施できる。どの場所からもスクリーンが視界に入り、フロア全体を使ったイベントにも対応可能だ。


 ロッカーは顔認証ロッカーを採用。グループ内で共同利用でき、ストレスフリーで生産性の高い空間を創出する。


 学生は同施設の利用に当たって「起業ナビ」への登録が必要になる。「起業ナビ」は同プログラム内の起業コミュニティーとして同大学が活動を支援している団体で、起業を志す学生が中心となって2022年3月に設立し、現在181人が参加している。学生がキャリアについて考えるセミナーや勉強会を自主開催しているほか、ビジネスプランコンテストなど大学主催の起業に関するイベントで企画・運営を担い、大学全体の学生起業文化の醸成に寄与している。


 同施設の企画・設計・施工を担当したリノべる梶i東京都港区)の山下智弘代表取締役は同大学理工学部の卒業生で、卒業後も大学主催のイベントに登壇するなど、在学生の成長を促す取り組みを行ってきた。


 同大学では、起業マインドが旺盛な学生や教員が気軽に集まり、自由な交流・ディスカッションから新たな事業アイデアが生まれるなど、起業にチャレンジするきっかけを創出する施設にしていく考えだ。


東大阪キャンパス西門前の新施設


コワーキングスペース

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