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記事2022年11月23日 2596号 (6面)
菅公学生服株式会社SCHOOL SOLUTION FAIR 2023開催
総合テーマは「Think with」

 菅公学生服梶i岡山県岡山市)は10月18日から20日まで、EBiS303(東京都渋谷区)でリアル展示会「SCHOOL SOLUTION FAIR 2023 Think with」を開催した。今回、総合テーマとして掲げた「Think with」には、子供たちと関わるさまざまな人々と同じ視点に立ち、「子供たちの未来のためにできること」を一緒に考えたいという「想い」を込めた。展示会では、「子供たちの未来と、魅力ある学校づくり」をテーマに、四つのブース(ミライ・マナビ・らしさ・コミュニケーション)を設置。各ブースで来場者と同社のスタッフが子供たちにとって理想的な社会や学校の姿について共に考えた。


Think ミライ 子供たちにとって真に豊かなミライを創造


 「Think ミライ」のブースでは、数年先の「NEXT SCHOOL LIFE」をテーマに、カンコー学生工学研究所が次代を見据え研究・開発中のプロトデザインを紹介した。


 「NEXT SCHOOL LIFE」とは、社会環境や、子供たちの価値観の変化を捉え、5〜10年先のありたいと望む未来を意味するという。同研究所では「想い」を共有する人々と共創の輪を広げながら、子供たちにとって真に豊かな未来を創造することを目指している。


 今回の展示会では「Diversity」「Identity」「Learning」「Sustainability」の四つのテーマから「NEXT SCHOOL LIFE」を提案した。


 「Diversity」については、「みんなと一緒」であることの安心感と「自分らしく着こなす」という充実感の両方を満たす新しいスクールユニフォームを展示した。


  子供たちにとって、これからの多様性社会では自分自身を尊重しつつ、多様な周りの人々ともつながり続けることが重要であるとの考えから、男女の垣根や、勉強時、運動時などの着用シーンの垣根を超えて、スクールウェアの中での自由な組み合わせを可能な限り実現した。マイノリティーの人を含め、子供たちが「心地よく着用できる選択肢」を設けるという一つの提案の形をデザインしている。


 「Sustainability」に関しては、ハイドロ銀チタン加工を施した花粉・臭いの悩みを和らげる制服(ブレザー上下)、体操服(ジャージ上下)を紹介した。


 これは近年、花粉や臭いに対する悩みを持つ子供が増えていることから、こうした悩みを和らげるために、独自のハイドロ銀チタンの最先端技術を用いてアレルギー性鼻炎、花粉症、ぜんそく、感染症に対する医薬・衛生用品を開発しているDR.C医薬と、カンコーが協業で約3年の月日をかけて素材を研究開発してきたもの。2023年春ごろから、全国の中学校・高等学校に向けて営業活動を開始する予定となっている。


 10月20日には、展示会場内で両社による新商品合同記者発表会を行い、子供たちの花粉・臭いの悩みを和らげる制服・体操服について説明した。


Think マナビ 「ひとづくり」プログラム提案


 「Think マナビ」のブースは、カンコーのグループ会社で、生きる力を育む「ひとづくり」で豊かな未来社会の実現を目指すカンコーマナボネクト鰍ェ企画・運営し、非認知能力の育成を軸とした「ひとづくり」プログラムを提案した。


 同社は、これからの時代を生きる力として求められている非認知能力を育み、子供たちが多様な人々と協働しながら、自分らしい人生を切り開いていくことができるよう、また持続可能で豊かな未来社会の創り手となれるよう、学びを通じて学校や先生をサポートしている。今回の展示会では「学校で育みたい力とは〜育成を目指す資質・能力の可視化〜」「マナビの土台をつくる〜子どもたち個々の魅力化〜」「将来や社会とつなぐ〜本質的な学びの魅力化〜」「カリキュラム・プログラムの振り返り」をテーマとして、各テーマに最適なプログラムを提案した。


 「学校で育みたい力とは」については、アイデアドーナツ研修を紹介。これは校訓や学校教育目標から、育みたい生徒像を可視化し、スクールポリシーや評価項目(アセスメント・ルーブリック化)を構築して先生が共通認識を持つためのワークで、高校のグランドデザイン策定のためのベースづくり、評価指標づくりと共有化、特別活動や探求活動で育みたい力の可視化に活用できる。


 「マナビの土台をつくる」については、「らしくラーニング for School」を紹介。同プログラムは時間の使い方、気持ちとの向き合い方など、普段の学校生活・授業では取り扱われることがない内容を生徒がeラーニングで学び、自身の考えを見つめることで、生徒の学びに向かう力や自信、意欲につなげるもの。


 また、自己肯定感を育み、10年後の将来を考える「Ancsプログラム」の提案も行った。


  「将来や社会とつなぐ」に関しては、「戦略的探究プログラム」を紹介した。同プログラムは卒業後の進路・就職を生徒自身が意識し、問いを立て、自分事として探究していくために必要なカリキュラムを構築し、プログラムの開発・実践から振り返り・評価までをサポートする。学校の要望に応じてカスタマイズ可能で、さまざまな学科・コースで導入することができる。


 さらに、自分自身や学校の魅力などを探究しながら、視聴者に分かりやすく魅力的な動画を作るためのノウハウを YouTubeから学ぶことができる「School YouTube」を提案した。これは設備や機材、動画の作成経験がなくても進行可能で、作成することを目的とせず、実践を通して考えや思いを他者へ伝えることにフォーカスしたプログラムとなっている。


 「カリキュラム・プログラムの振り返り」については、生徒の見えない学力を定量化する教育機関向け評価ツール「AiGROW」を紹介。同ツールは1240万件を超える児童・生徒の評価データを基に資質、能力と教育活動の効果を可視化するもので、従来の方法では難しい思考、判断、表現力、主体性といった資質や能力の適切で公平な評価を負担なく実現する。探究学習のグループ割り振りや進学時の調査書作成などに活用できる。


Think らしさ 学校の魅力を効果的に表現


 「Think らしさ」のブースでは、学校の魅力や特徴を効果的に表現する制服・体操服を提案。学校の個性、魅力をキーワード化して(1)時代の変化を的確に捉え教育内容や学習環境を迅速に進化させていく(2)子供たちの個性や特性を見つめ伸ばし、一人一人の可能性を大切にする(3)スポーツを通じて得た経験や学びを軸に社会で活躍する人材の育成を目指す(4)多様な国際感覚を養い、グローバルに活躍する人材の育成を目指す学校の4ブースを展開した。


  (1)では、伝統を守りながら時代に合わせて改革を進める学校に最適なブランド「BEAMS SCHOOL product by KANKO」を紹介。来年度企画商品の特徴となる定番の着こなしを大切にし、ブラウンのアクセントで進化させるアイビースタイルなどを展示した。


 (2)では、単体アイテムとしても成立し、選ぶこと、組み合わせる楽しさを通じて個性や表現力を伸ばす体操服「Sports Styling Wear」を提案した。また、生徒たちがスタイルを決められる「KANKO」の制服を紹介。一つのスタイルで学校らしさと自分らしさを両立できることなどをアピールした。「Reebok」のさまざまな個性を持った子供たちが協力し合い輝いてほしいという意味が込められたカモフラージュ柄の中に星が隠れた商品も提案した。


 (3)では、「KANKO」オリジナルの設計・デザインにファイテン社独自のアクアチタンのリラックス技術を加えた「KANKO×Phiten」の制服・体操服を展示。来年から提案を開始するファイテンのスクールウエアも紹介した。身に着けることで体をリラックス状態へとサポートし、力を十分に発揮できる環境づくりの一助を目指す。


  スポーツ業界に貢献できる人材を育成する学校向けに、必要な機能を追求した素材と仕様で快適なパフォーマンスをサポートする「KANKO PREMIUM」の体操服も展示。新デザインは深い色味等の独自の要素を盛り込み、ワンランク上の体操服に仕上げている。


 (4)では、「KANKO」の「季節に合わせて、私らしく」「1着を長く、大切に」「軽やかに、華やかに」というサステナブルな要素を含めた三つのスタイルを提案した。加えて、「KANKO NORMCORE」の時代の流行に左右されないシンプルでスタイリッシュなデザインで長く愛される体操服や、フランス発のグローバルなブランドで世界の課題へ目を向けて発信している「ELLE ECOLE」、世界に認められているタータンチェックブランド「Peter Mac Arthur」を紹介した。


Think コミュニケーション 学校広報と各種サポート提案


 「Think コミュニケーション」のブースでは、変化する子供たちや保護者の価値観を踏まえた学校広報と各種サポートを提案した。


 学校広報サポートについては、エイベックス・エンタテインメント鰍ニカンコーが連携してハイクオリティーな動画を企画・制作する「学校PR動画」や、SDGsに関わる活動と情報発信・PR支援、イラストを活用した新制服プロモーション、中高生を対象に制服を着用した学生の写真を募集する「学校制服フォトコンテスト」、国内最大級の高校生動画コンテスト「YouTube甲子園」、広報(プレスリリース)代行を紹介した。


 各種サポートでは、カンコー品質として安心と感動を届けるこだわりと匠の技、AIを活用して自宅で採寸できる「スマート採寸」、先生に教育関連情報を発信するためにオープンするサイト「Teacher with」に関する展示を行った。


 また、同展示会では魅力ある学校づくりにつながる講演会やワークショップも実施。「学校力を高めるこれからの学校ブランディング戦略とは?」をテーマとして、一般社団法人国際エデュテイメント協会の森俊介代表理事が講師を務めた講演会や、潟Jルペ・ディエムの西岡壱誠代表による「新入試問題づくりから始まる広報ブランディング戦略」がテーマのワークショップなどを行い、最新情報を発信した。


花粉・臭いの悩みを和らげる制服・体操服発表


 カンコーとDR.C医薬は10月20日、「SCHOOL SOLUTION FAIR 2023」の会場内でハイドロ銀チタンを施した花粉・臭いの悩みを和らげる制服・体操服の合同記者発表会を開催した。ハイドロ銀チタンの技術を施した制服・体操服はスクールユニフォーム業界初(カンコー調べ)。2023年春ごろから、全国の中学・高校に向け営業活動を開始する。


 カンコーは花粉による健康被害が子供に広がっていることを重要な課題と捉え、調査・研究を進める中で、DR.C医薬と協業することとなった。


 DR.C医薬は独自のハイドロ銀チタンの最先端技術を用いてアレルギー性鼻炎、花粉症、ぜんそく、感染症に対する医薬・衛生用品を開発している。同技術は医師でもある同社の岡崎成実社長が約30年前、ペシャワールを医療視察したときに、医療機器や薬品が不足する中、多くの子供が感染症で苦しむのを見て、衣類で感染症が予防できる方法がないかと考えたことをきっかけとして開発されたもの。酸化チタンに銀・ハイドロキシアパタイトを複合させ、たんぱく質を分解して水や二酸化炭素・窒素などに変える。


  今回、両社の未来への思いから生まれた制服・体操服は花粉の中のたんぱく質を分解し、室内への持ち込みを防ぐ対策の一つとなる。また、臭いの元になる不衛生たんぱく質を分解し、気になる臭いを防ぐ。不衛生たんぱく質の分解は抗菌効果もある。


 効果の持続性の検証では、制服を30回、体操服を50回洗濯し、花粉の中のたんぱく質低減効果を計測。同技術を施した後、洗濯0回では花粉の中のたんぱく質低減効果は約99・6%あり、洗濯を繰り返しても制服、ジャージ、シャツ素材共に一定の効果が持続することが実証された。


 合同記者発表会で、カンコーの尾ア茂社長は「今回発表した制服・体操服は子供たちの花粉や臭いの悩みを和らげるために開発した。今後も、学校生活を取り巻くさまざまな課題の解決に向けてまい進していく」との考えを示した。


 岡崎社長は「カンコーの『すべては子どもたちの未来のために』という『想い』に共感した。当社の技術がその一助となれば大変うれしい」と話した。


展示会場入り口


垣根を超えて自由な組み合わせ実現


戦略的探究プログラムなどを紹介


学校の個性に合ったブランドを提案


YouTube甲子園を紹介


尾ア社長(左)と岡崎社長(右)


ハイドロ銀チタンⓇ技術を施した制服・体操服

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