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記事2021年7月23日 2551号 (6面)
明星大学の取り組み
学生有志がオリパラボランティアユニホームをデザイン
聖火イベントで地元日野市長・市民が実際に着用

 明星大学デザイン学部(東京都日野市)では、デザイン学科所属の学生有志が教員の指導の下、東京オリンピック・パラリンピック(以下東京大会)での地元日野市のボランティアのユニホームのデザインを手掛けるプロジェクトに取り組んだ。今年春に完成デザインの発表を行った後、7月の聖火イベントで市長や市民が実際に着用した。同市にゆかりのある新選組にちなんだデザインということもあり、携わった教員・学生、着用した市民双方から喜びの声が聞かれた。


 同学科は「社会とつながるデザイン」をテーマとして、社会のいろいろな課題をデザインによって解決していくことに取り組んでおり、同大学が同市と連携協定を結んでいる関係で同市に対しても地域デザイン活動を展開している。そうした中、同市は東京大会において2019年からウクライナのホストタウンとして登録され、同年の夏日本で行われた空手大会の際に同学科に依頼があり、事前キャンプに訪れた選手のために、当時の学生が川又淳・同学部教授(当時准教授)の指導で応援用手拭いのデザインと制作を手掛けた。


 そして今回、東京大会で同市が募集した三つのボランティア(聖火リレー沿道ボランティア・ウクライナ代表応援ボランティア・聖火リレーサポートランナー)それぞれのユニホームのデザインについても依頼があり、川又教授の下に7人の学生が集まり(前回の手拭いのデザインに携わった人も含む)2020年1月からプロジェクトを開始、進めるうちに各自の役割も定まっていった。途中、コロナ禍による大会の延期決定や登校制限措置などで活動を中断せざるを得ない状態が続いた上、その後再開した際も「大会が本当に行われるかもよく分からず、正直『やる意味があるのか』と思うこともあった」(川又教授)と暗中模索の状況だったが、14カ月たった今年3月に完成、同月の交流イベントで学生たちによって披露された。


 同市が新選組ゆかりの地であることから、デザインは新選組の隊服などに使われた三角形の模様「だんだら」を基本とし、それぞれに「HINO2021」のロゴを、三角形を組み合わせて描いた。ユニホームは帽子、マスク、タオルも加えてひとそろいのセットとし、タオルには「がんばろう、ウクライナ!」のメッセージを現地の言葉で表記。デザインの選定理由について学生は「三角形の分かりやすくシンプルな模様で、オリンピックの勇壮なイメージとも合っている」と語るほか、川又教授は「それと同時に着用する市民にとっても『日野と言えば新選組』とイメージしやすく、双方にメリットがあるものを目指した」と付け加える。さらにデザイン考案だけでなく外部の製造業者とも学生たち自ら直接関わり「試作品は描いたものと出来上がったものとで異なる部分があり、業者とやりとりして直していった」などの交渉も行っている。


 披露イベントが終わった後も、感染状況の変化につれてその後のイベントの予定も変わっていき、最終的に同市での聖火リレーもなくなり学生からは「沿道のボランティアが着ている姿を見たかった」との声も。しかし7月10日に行われた代替の点火セレモニーでは、大坪冬彦・同市長や窪田知子・同市議会議長をはじめ、同市のスタッフや小学生のサポートランナーらがユニホームに袖を通した。それを見た学生から「届けたい人にやっと届いて安心した」といった感想があったほか、一方のランナーの小学生からも「ユニホームが着られてよかった」という感想があったという。


 プロジェクトの開始段階で「大会が終わっても、市民が誇りを持ってユニホームを着る機会があってほしい」と伝えていたという川又教授。東京大会での着用の機会は減ったものの、今後も同市のイベントやボランティア活動などで活用してほしいと学生とともに期待している。


完成したユニホームのセット


3月のイベントにて、デザインの説明を行う川又教授


ユニホームを着た大坪市長(左)と窪田議長(右)


サポートランナーの小学生も着用した

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