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記事2021年5月3日 2543号 (6面)
大正大学の取り組み
AIを知るための特別授業実施
創立100周年「スマートユニバーシティ」軸とした改革も実施中 

 大正大学(東京都豊島区)では、同大学の考える「新時代の地域のあり方を構想する地域戦略人材育成事業」が文部科学省令和2年度大学教育再生戦略推進費「知識集約型社会を支える人材育成事業」の審査の結果令和2年11月18日付で採択されたのを機に、その一環で学生のほか教職員も含めた「数理・データサイエンススキル向上特別プログラム」を実施している。その導入として全学年の学生を対象としたAIやディープラーニング(深層学習)の基本について学ぶ特別授業をオンラインと対面との併用で開催し、今後AIを活用する学生が特別授業を通してAIの基礎を学んだ。


  3月12・24日に行われた特別授業「AI入門オンラインで学べる体験型プログラム『ディープラーニングの夜明け』」は、同プログラムの学生向けとして行われたもの。講師は大学在学中にウェブマーケティング会社を起業した潟Nリエイターズネクスト(同港区)の窪田望社長が務め、今春卒業した人も含め51人の学生が参加した。なお同12日には同じく窪田氏が講師を務めた教職員向け講座「教育現場におけるDX(デジタルトランスフォーメーション)の推進とAIの活用について」も行われた。


  前半はAIの歴史と進化をクイズや寸劇も交えて紹介したほか、簡単な塗り絵を描くだけで風景写真が作れる無料のAI活用ツールに学生もアクセスして体験。同時に板書しながら絵や音楽も含めAIは数字によって識別・調整・出力していることを説明した。加えて、かつてこうしたツールは高価なものだったのが今は無料で公開され利用できることにも触れながら、窪田氏は「積極的な態度があればどこでも学べる。既にAIを使える時代になっていて、これほど『生まれてラッキー』と思った時代はない」と語った。


  そして後半で「『AIはあらゆる仕事を奪う』などと言う人も多いが、ちょっと考え直してほしい。AIを怖がらず自分で所有するものだ、と考えを改めた人から新しいチャンスをつかめると確信している。例えばメディアは、これまで他者のものであり(新聞社やテレビ局のような)大企業であり参入障壁も高かったが、今はSNSで情報を簡単に大衆に発信できる、つまり誰もがメディアを所有する時代になっていて、同じくAIも所有できる時代になっている。単位取得されないこの授業をあえて受けてくれた皆さんはその入り口に立っている。これを出発点にして世界を変えるような活動をしてくれたらうれしい」と伝えた。


  最後に学生から起業のきっかけについて質問があり、窪田氏は「過酷ないじめを受けていた幼少期にインターネットに出会い、自分が開設したニュースサイトが多くの反応を受けた。もっと自信を持っていいんだ、今いる場所だけが世界の全てではないと感じた。そしてネットの世界に恩返ししたくて会社をつくった」と答えた。また終了後に寄せられた学生の感想には「数理的な講義ではなく体験的な授業が新鮮でとても面白かった」「こんなに手軽にAIで遊べるとは思わなかったので驚いた」といったものがあった。


  同大学では2026年の創立100周年に向け、キャンパス全体を最適化し快適な学修環境を創出する「スマートユニバーシティ」を軸とした大学教育改革を実施中だ。そのうち地域連携事業はこれまで行われてきたもの以上に活発となり、2026年までに200の自治体との連携を目指すほか、地元巣鴨のまちと同大学とが一体化する「すがもオールキャンパス構想」の取り組みも随時進めている。


学生に語り掛ける講師の窪田社長


塗り絵から写真が作れるAI活用ツール

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