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記事2019年2月3日 2466号 (1面) 
文科省が「柴山イニシアティブ」発表
“人材育成と変革創出に大学等の改革急務”
手厚い支援と厳格評価、徹底へ

柴山昌彦・文部科学大臣は2月1日、大臣就任以降温めてきた改革構想「高等教育・研究改革イニシアティブ(柴山イニシアティブ)〜高等教育機関における教育・研究改革の一体的推進〜」を発表した(改革工程表は次号に)。改革のキーワードは「手厚い支援」と「厳格な評価」だ。


今後、より一層少子高齢化やグローバル化が進展する社会を迎え、Society5・0に向けた人材育成やイノベーション創出には大学等の改革が急務との認識の下、国の責任で意欲ある若者に関しては高等教育機関への進学機会を確保し、高等教育機関等には取り組みや成果に応じて「手厚い支援」と「厳格な評価」を徹底、世界をけん引するトップ大学群と地域や専門分野をリードする大学群を形成、最前線で活躍する研究者、次代を担う学生の活躍に繋げていく方針。改革の方向性は、高等教育機関へのアクセスの確保、大学教育の質保証・向上、研究力向上、教育研究基盤・ガバナンス強化の4点。  また、「手厚い支援」とは、(1)真に支援が必要な低所得世帯の者に対して、授業料・入学金の減免、給付型奨学金の支給を合わせて措置、(2)教育の質保証・情報公表のための仕組みを構築、(3)実務家教員の登用促進、教育体制の多様化・柔軟化、(4)研究人材改革(優秀な若手研究者へのポスト重点化等)、(5)研究資金改革(若手研究者への重点支援等)、(6)研究環境改革(設備等共用と研究支援体制強化)、(7)改革に意欲ある大学等への重点支援、(8)ガバナンス改革、連携・統合を進める仕組みの構築、(9)産学連携(外部資金獲得)の推進のこと。一方、厳格な評価に関しては、(1)対象を学問追究と実践的教育のバランスの取れている高等教育機関に限定、(2)進学後の学習状況について厳しい要件を課し、これに満たない学生は支援を打ち切る、(3)大学評価において学生の伸びの確認を徹底する、(4)教育の質を保証できない大学は撤退、(5)厳格な業績評価の実施、(6)競争的研究費の審査の透明性向上、制度の評価・検証の徹底、(7)改革の進捗や成果に応じた評価・資源配分のメリハリ付け・徹底、(8)単独で改革が行えない大学は再編・統合・撤退を列挙している。  この改革を実行するため、同省では今国会に、真に支援が必要な低所得世帯に対する高等教育機関へのアクセス機会を確保するための法案と、進学先である大学教育の質の保証や教育研究基盤、ガバナンス改革を後押しする法案を提出する予定で、また近日中に永岡桂子文科副大臣を座長とした研究力向上改革タスクフォースの設置等を予定している。このほか、今年度中に国立大学改革方針も策定する予定。  四つの改革の方向性のうち、大学教育の質保証・向上では、教学マネジメントの確立、学修成果の可視化と情報公開、リカレント教育の更なる推進、留学生交流の推進、実務家、若手、女性、外国籍等の様々な人材の教員への登用促進、文理横断等社会変化に応じた教育の推進、大学院教育の体質改善による卓越した博士人材の育成等を進めるとしている。このうちさまざまな人材の教員への登用促進では、実務家教員養成プログラムを開発、実施する方針。教育研究基盤・ガバナンス強化に関しては、国立大学法人法を改正、また国立大学改革方針を策定する。同改革方針では国立大学の果たす役割と規模・配置に関する改革の方向性等、具体的には18歳人口を踏まえた定員規模、大学院機能の重視、文理横断的・課題解決的な学部教育の改革などを進める。学校法人のガバナンス強化に関しては、今国会に私立学校法等の改正案を提出、2019年度から学校法人運営調査において経営指導強化を始める。

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