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記事2019年2月23日 2468号 (1面) 
学校法人のガバナンスを改善・強化
学校法等改正案・国会提出
監事の理事に対するけん制機能強化 
国立大学法人制度改革も同時に

政府は2月12日、「学校教育法等の一部を改正する法律案」と「大学等における修学の支援に関する法律案」の2法案を国会に提出した。2月19日現在、2法案は文部科学委員会(亀岡偉民委員長)に付託されていない。この2法案は、昨年6月のいわゆる「骨太の方針」等で決定された「人づくり革命」を進めるため高等教育の無償化と大学改革を一体的に進めるもので、具体的には、アクセス機会の確保、教育の質向上、教育研究基盤の強化を実現するのがねらい。 (3面に関連表)


このうち「学校教育法等の一部を改正する法律案」は、学校教育法の一部改正、国立大学法人法の一部改正、私立学校法の一部改正、独立行政法人大学改革支援・学位授与機構法の一部改正をまとめたもの。  このうち学校教育法の一部改正では、大学等の教育研究等の状況を評価する認証評価で当該教育研究等の状況が大学評価基準に適合しているか否かの認定を義務付ける。また認証評価で「適合」を受けられなかった大学等に文部科学大臣が報告または資料の提出を要求できるようにする。さらに、国立大学法人法の一部改正では、国立大学法人岐阜大学と国立大学法人名古屋大学を統合して国立大学法人東海国立大学機構を創設し、同機構が岐阜大学と名古屋大学を設置する。国立大学法人が複数の大学を設置する場合、その他管理運営体制の強化を図る特別な事情がある場合には、学長選考会議の定めるところにより、設置する大学の学校教育法上の学長の職務を行う大学総括理事を設置できる。理事数が4人以上の国立大学法人は、理事に学外者を複数含める。国立大学法人評価委員会は、独立行政法人大学改革支援・学位授与機構に認証評価の結果を踏まえて国立大学法人評価を行うよう要請するなどの改革を行う。  私立学校法の一部改正では、(1)役員の職務および責任の明確化等に関する規定の整備((1)学校法人の責務の新設、(2)役員の責任の明確化、(3)理事・理事会機能の実質化、(4)監事の理事に対するけん制機能の強化、(5)評議員会機能の実質化)、(2)情報公開の充実、(3)中期的な計画の作成、(4)破綻処理手続きの円滑化を行う。このうち(1)の学校法人の責務の新設では運営基盤の強化、教育の質の向上、運営の透明性の確保を行う。(2)の役員の責任の明確化では善管注意義務、法人・第三者への損害賠償責任、学校法人から役員等に対する特別な利益供与禁止が新たに盛り込まれ、(3)の理事・理事会機能の実質化では、特別な利害関係を有する理事の議決権排除、利益相反取引制限の対象拡大、監事への著しい損害を及ぼす恐れがある事実の報告義務を行う。(4)の監事の理事に対するけん制機能の強化では、理事の業務執行状況の監査、理事会の招集請求権・招集権、評議員会の招集権の付与(不正等の場合)、理事の法令違反行為等の差し止めが監事にできるようにする。(5)の評議員会機能の実質化では中期的な計画・役員報酬基準へ意見を言えるようにする。  (2)の情報公開の充実では、寄附行為、役員名簿の一般閲覧、役員報酬基準の作成・閲覧を行う。特に大学法人等の文部科学大臣所轄法人に関しては財務書類等(貸借対照表、収支計算書、事業報告書、監事監査報告書等)および役員報酬基準の一般閲覧および公表を行うようにする。  (3)の中期的な計画の作成では、予算、事業計画の作成を義務付け、特に文部科学大臣所轄法人に関しては、認証評価の結果を踏まえた事業に関する中期的な計画の作成を義務付ける。(4)の破綻処理手続きの円滑化では、解散命令による解散時の清算人は所轄庁が選任するように改める。   独立行政法人大学改革支援・学位授与機構法の一部改正では、国立大学法人等の運営基盤の強化を図るための情報収集・分析等を業務として追加する。また、国立大学法人評価委員会から同機構の認証評価結果を踏まえて国立大学法人評価の要請があった場合には、それをすることも業務とする。学校教育法等の一部を改正する法律の施行期日は2020年4月1日。ただし国立大学法人岐阜大学と国立大学法人名古屋大学の統合に係る準備行為等および同機構の業務に国立大学法人等の運営基盤の強化を図るための情報収集・分析等を追加することの施行は公布日から。

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