こちらから紙面PDFをご覧いただけます。



全私学新聞

TOP >> 2018年8月13日号二ュース

記事2018年8月13日 2451号 (1面) 
全私学連合 平成31年度予算要望

平成31年度の私立学校関係政府予算については、文部科学省が8月末日までに概算要求を財務省に提出するが、それを前に大学から幼稚園までの私学5団体で組織する全私学連合(鎌田薫代表=早稲田大学総長)は、7月31日、林芳正・文部科学大臣に来年度私立学校関係政府予算要望を提出したが(前号で一部既報)、今号では5団体の具体的な要望内容について紹介する。


 大学 不合理な国私間格差是正を


中高 新たな教育のための施設設備 経費全額国の負担で


このうち、日本私立大学団体連合会は、(1)高等教育に対する公財政支出の低位性の改善、(2)不合理な国私間格差の是正、(3)多様な人材を育成するための多様な教育研究活動の保障・推進、(4)家計負担依存からの脱却ならびに大学進学の機会均等の実現を基本的考え方に据え、最重点要望として8項目、重点要望として4項目を掲げている。  最重点要望の筆頭が、(1)公財政支出による経常的経費の2分の1補助の実現、(2)消費税に係る負担軽減のための公財政支出の見直し・拡充、(3)専門職大学に対する現行の私学助成とは別建てによる助成制度の創設。経常的経費の2分の1補助の実現では国大の補助割合が56・2%(経常費用から診療報酬を除く)なのに対して、私大は9・9%(平成27年度)、格差は5・6倍と説明。また消費税率10%の下での1法人当たりの実質負担額は最大で約86億円、平均で約10億円に増加することが推測されると指摘。要望2では、国私の設置形態に依拠しない学生修学支援(授業料減免制度)の創設等を、要望3ではSociety5.0等の社会変革への対応、リカレント教育、グローバル化、教員養成等に係る支援の拡充等を、要望4では教育研究施設、設備装置補助の補助率の引き上げ等を、要望5では社会や地域の貢献度を考慮した支援の実現等を求めている。要望6では科学技術イノベーションの基盤的な力の強化に向けた支援を、要望7ではスポーツの振興、文化芸術立国の創造に資する大学資源の活用ならびに人材育成に係る取り組みへの支援の充実を、要望8では安全・安心な教育研究環境の実現や近年の大規模災害等からの復興・被災学生への支援の継続・拡充等に向け耐震改築補助制度の延長等を求めている。また重点要望では女性の活躍推進のための支援等の必要性を挙げている。  日本私立中学高等学校連合会は、私立学校振興助成法施行から40年余を経てもなお補助割合は3割程度にとどまっているとして、経常費助成費補助の大幅拡充強化を強く要望。また消費税増税により保護者ならびに私立学校が負担増とならないよう適切な措置の検討を、ICT環境の整備では補助金申請額が予算額を上回っているため、補助率2分の1のところが、実質3分の1程度に圧縮されていることを指摘、新たな教育に向けた施設設備の刷新のため公私の別なく経費全額を国で負担する新たな仕組みの検討を要望している。  最優先課題である学校施設の耐震化に関しては、私立高校の耐震化率は国公私立の全学校種の中で最低レベルの87%程度にとどまっているとして、耐震化補助の大幅な増額、補助率を国公立学校と同水準とするなど補助内容等の拡充強化、平成30年度までの時限措置の耐震改築補助制度の再延長を、耐震化後の付帯設備の長寿命化改修では空調設備の省エネ化、LED化、トイレ改修など施設機能の更新等への対策、支援を要望している。加えて高校等就学支援金制度の拡充強化、私立中学校等の生徒等への就学支援金制度の拡充強化、日本私学教育研究所研修事業費等への補助の拡充強化を求めている。  日本私立小学校連合会は、経常費助成費等に対する補助の拡充強化、施設設備の耐震化事業、教員の資質能力向上等のための補助金の拡充強化等を要望。全日本私立幼稚園連合会は経常費助成費補助制度の拡充等、認定こども園への移行に伴う施設整備補助の充実、幼児教育の無償化の円滑な実施、幼稚園就園奨励費補助制度の充実等を要望している。このほか日本私立学校振興・共済事業団が各事業の一層の充実に必要な予算措置等の拡充を、同事業団の利益金を財源に私立学校教職員の研修事業等を実施する私学研修福祉会が安定的な財政基盤の強化等を要望した。

記事の著作権はすべて一般社団法人全私学新聞に帰属します。
無断での記事の転載、転用を禁じます。
一般社団法人全私学新聞 〒102-0074 東京都千代田区九段南 2-4-9 第三早川屋ビル4階/TEL 03-3265-7551
Copyright(C) 一般社団法人全私学新聞