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記事2018年11月23日 2460号 (1面) 
経済財政諮問会議で教育の在り方議論
STEM人材や遠隔教育など議題
高等教育の無償化経営難の私大は対象外に

政府は11月12日、総理官邸で今年13回目の「経済財政諮問会議」を開催し、教育・科学技術分野の経済・財政一体改革等について議論した。
 「教育・科学技術」分野に関しては、初めに同会議議員の伊藤元重・学習院大学教授が4人の民間議員の総意として、「徹底した見える化を基礎とした教育・科学技術政策と予算のメリハリに向けて」と題する資料を発表した。このうち2020年度からの高等教育の無償化実施では経営難の私立大学を支援対象から外し、延命策にならないことを厳しく担保すること、教育の質に基づく私学助成の配分割合等について来年度から抜本的に引き上げていくこと、遠隔教育については高校における目標実施校数を大幅に引き上げること、今後に策定する「AI戦略」にSTEM人材の育成に関する目標・戦略・工程をしっかりと位置付けることなどを求めた。
 これに対して柴山昌彦文部科学大臣は、高等教育無償化に際し経営に問題がある大学は対象外とすること、具体的には、(1)「運用資産―外部負債」がマイナス、(2)経常収支が3カ年連続マイナス、(3)在籍学生数の収容定員の8割割れが3カ年連続―のいずれにも該当する大学のことだとした。
 また私学助成(大学)の見直しに関しては、定員充足率を踏まえたメリハリの強化、教育の質に係る客観的指標の導入、情報公開の状況によるメリハリ化、特別補助の交付要件および審査方式等の見直しの意向を示し、さらに遠隔教育では各学校の実態を踏まえ遠隔教育の目標を設定し、制度改正等の具体的方策を検討するとした。STEM人材の育成に関しては、高校普通科の在り方を見直すなど文理分断からの脱却を図り、大学では全学的な数理・データサイエンス教育の強化、「AI×〇〇」など分野横断的な人材輩出につなげるため複数専攻を可能にする制度の構築と展開、EBPMでは教学マネジメントに係る指針の策定、学修成果の可視化と情報公表を加速・推進する方針。
 こうした報告に同会議の民間議員からは「STEM人材は育成ではなく獲得に向けた工程化が重要」といった意見や、遠隔教育では、現在送信側に必要とされる教科免許を持った教師のみならず教師以外の外国人、IT専門家等も認めるべきだとしている。小・中学校についても高校と同様に大胆な規制改革を講じるべきだとしている。

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