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記事2016年6月23日 2378号 (1面) 
法科大学院ICT活用会議初会合
地方在住者や社会人等考慮し
平成30年度を目途に本格的に普及

文部科学省が新たに設けた「法科大学院教育におけるICT(情報通信技術)の活用に関する調査研究協力者会議」(主査=樫見由美子・金沢大学人間社会学域・研究域長)が6月10日、同省内で初会合を開いた。  政府の法曹養成制度改革推進会議が6月30日に決定した今後の改革の方針に「地方在住者や社会人等に対するICTを活用した法科大学院教育について、平成30年度を目途に本格的な普及を促進する」とあり、その具体的な検討のために同会議が設置された。他の専門職大学院を含む先行事例の把握、遠隔教育等の有効性と課題の整理、ICTを活用した法科大学院教育の普及方策などについて調査研究を行う。法科大学院の研究科長ら11人の委員で構成、期間は来年3月末まで。  今回はまず委員らが実施事例を発表。九州大学・熊本大学・鹿児島大学・琉球大学の4大学連携による遠隔授業、筑波大学が実施したスマートフォンなどの端末で受講できる「モバイル形式」遠隔授業などについての発表があった。また、中央大学は遠隔授業の実施とともに、今年1月にかけて受講者に対するアンケート調査を実施(回答者152人)。遠隔授業と従来の授業ではどちらの教育効果が高いか、との設問には「どちらもかわらない」48・0%、「遠隔授業」19・7%、「従来の授業」27・0%との回答となった。一方で教員からは「小規模校のデメリットの解消が期待できる」「大規模校にはメリットがない」などの回答があった。  発表後の意見交換では「遠隔授業の方が劣っている、という認識が前提になっているが実際どうなのか。今までやってきた先生に詳しく聞くべきだ」「現場にはICT導入に対してどんな不安があるのかをまずくみ取るべきではないか」「法曹志願者が減少している今、ICT教育を普及させることの意義は何か。潜在的な志望者がどれくらいかも測る必要がある」「予備試験でいいという法曹志願者に向けてどうするかも検討すべきだ」などの意見が上がった。


 

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