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記事2014年2月13日 2297号 (1面) 
立ち入り検査、役員解任勧告など可能に
文部科学省 私立学校法の一部改正案、提出へ
解散命令前に段階的措置 私立学校の自主性に配慮

 文部科学省は開会中の第186回国会に「私立学校法の一部を改正する法律案」を提出する方針。これは昨年3月28日付で解散命令を受けた群馬県高崎市の学校法人堀越学園の事案で、最終手段というべき解散命令までの間に段階的な対応ができず、結果として学生等が転学を余儀なくされる事態に至ったことから、私立学校の自主性を尊重しつつ、私学全体に対する不信感につながるような異例の事態に所轄庁が的確に対応するための仕組みを整備するもの。




 「私立学校法の一部を改正する法律案」の改正ポイントは3点。その@は、所轄庁による必要な措置命令等の規定の整備(第60条関係)で、「所轄庁は、学校法人が、法令の規定、法令の規定に基づく所轄庁の処分若しくは寄附行為に違反し、又はその運営が著しく適正を欠くと認めるときは、当該学校法人に対し、期限を定めて、違反の停止、運営の改善その他必要な措置をとるべきことを命ずることができる」とする。しかし学校法人がそうした措置命令に従わないときには、役員の解任を勧告することができる、というもの。その際、所轄庁は私立学校審議会等の意見を聞かなければいけないこと、また行政庁または私立学校審議会等による弁明の機会を当該学校法人に付与することとしている。

 Aは、報告および検査の規定の整備(第63条関係)で、所轄庁はこの法律の施行に必要な限度において、学校法人に対し業務・財産の状況について報告を求め、または学校法人の事務所等に立ち入り、検査すること等ができるとしている。

 Bは、忠実義務規定の明確化(第40条の2関係)で、学校法人の理事は、法令および寄附行為等を遵(じゅん)守(しゅ)し、学校法人のため忠実に職務を行わなければいけない、とする。

 施行は交付日から。

 こうした改正案は、文部科学大臣の諮問機関である大学設置・学校法人審議会学校法人分科会が、異例な事態に対応するための制度の在り方について検討、昨年8月20日に公表した報告「解散命令等に係る課題を踏まえた今後の対応の在り方について」が基礎となっている。その報告の中では、「学校法人の運営は、私学の自主性と公共性の自覚に信を置いて、いわばその善意に基づく運営に対して行政の関与は極力控えるものとして制度が設けられているところであり、このような制度の基本的な理念は、今後とも大切にされていくべきだ」と指摘されている。今回の改正案では、そうした私学の自主性尊重への配慮は、私立学校審議会等からの意見聴取の義務付けや、当該学校法人が所轄庁による弁明の機会の付与に代えて私立学校審議会等による弁明の機会の付与を求めることができるなどの形に表れている。
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