全私学新聞

TOP >> バックナンバー一覧 >> 2010年2月23日号二ュース >> VIEW

記事2010年2月23日 2162号 (4面) 
低炭素社会実現に取り組む私学 C
日本工業大学
国内大学随一の太陽光発電システム設置
全学科に多数の環境関連科目

 日本工業大学(柳澤章学長、埼玉県宮代町)は、国内大学随一の太陽光発電システムを持つ。キャンパス正門から本館正面屋根部分を仰ぐと、巨大な四角柱のソーラーチューブが見える。同大学のモニュメントでもある採光型太陽電池モジュールである。最大発電電力は一三・一kW。このソーラーチューブを真ん中にして、コの字型の本館屋上約三千平方メートルには約二千三百枚の単結晶シリコン太陽電池パネルが設置され、三〇〇kWもの電力を発電する。国内大学としてはナンバーワン、世界の教育機関のなかでもトップクラスの規模を誇る太陽光発電システムである。
 運転を開始したのは二〇〇〇年四月。NEDO(新エネルギー・産業技術総合開発機構)との共同研究事業「太陽光発電フィールドテスト事業」を活用し、太陽光発電導入に先鞭をつけることが狙いだった。設置は、本館改修工事に合わせて行われ、建物への荷重を避けるため、外側に巡らせた架台の上にソーラーパネルを載せ、屋根代わりとした。また、これにより屋上防水工事を省くことができた。設計したのは同大建築学科の教員だ。
 五年間の共同研究事業期間は既に終了しているが、今も順調に電力を供給しつづけている。現在、日本工業大学の年間使用電力量は約九百万kWh、その三%にあたる二十七万kWhをこの太陽光発電システムがつくり出し、金額ベースでは年間約五百万円にあたる。この太陽光発電システムは省エネ対策というだけでなく、クリーンエネルギーのシンボルであり、工学を学ぶ学生にとって生きた教材でもある。
 今年一月、新たに、本館に隣接する機械工作センターと機械システム学群棟の屋上にも太陽光発電システムを設置、一五〇kWの発電を始めた。本館のシステムと合わせると四六三kWの発電量となる。
 一方で、二〇〇一年六月には国際環境規格ISO14001を取得。環境マネジメントシステム(EMS)構築により、PDCAサイクルをまわしながら、環境負荷の低減に努め、今年で十年目に入った。環境保全の取り組み例を挙げると、雨水の利用、ゴミの分別収集の徹底、生ゴミのコンポスト化、切り屑圧縮機、早稲田大学との共同研究によるハイブリッド型風力発電装置、遮熱性舗装、水の濁りの除去、太陽などのエネルギーで湖水を循環させる潜水ロボットなど。図書館・情報施設であるLCセンターは、水噴霧システムで外壁に霧を発生させて気化熱で夏場の冷房負荷を低減するなど、様々な工夫が施されている。キャンパスのいたるところに環境保全の取り組みが仕掛けられ、キャンパス全域をエコ・ミュージアム化して積極的に環境教育に生かすとともに、地域社会にも開放している。
 あわせて同学は「環境が学べる大学」として、全学科のカリキュラムに環境関連科目を多数設置している。例えば教養科目として「産業論T・U」「環境と人」「地球環境と人間社会」「環境と工学・工業社会」など。専門科目として「環境と工学」「環境と住まい」「環境とエネルギー」など。自由科目としては「電気電子環境技術」などである。
 二〇〇二年度から始まったのが、教職員・学生を問わず学内の優れた環境保全の研究に対して助成金を支給する「環境分野研究奨励助成金」。助成金額は一件二十万円、毎年度五つの研究テーマが採択されてきた。例えば二〇〇八年度の採択研究テーマは「大学における環境教育のあり方に関する調査研究」「家電廃棄物の教育教材への再利用の研究」「環境に優しいキャパシタ電気自動車」「大学校内の電磁環境測定」「小型水車による自然エネルギー回収システムの開発」の五つ。二〇〇六年の採択研究で、超低燃費の電磁駆動バルブ搭載エコランエンジンを開発した学生の一人は大手自動車メーカーへ就職した。
 環境に関するものだけではないが、学生の自由な研究を支えているのがスチューデントラボ。学科・学年に関係なく、一人でもグループでも、やりたいこと、やってみたいことが、ここではできる体制が整えられている。
 二〇〇九年四月には、新時代のエンジニアを育てたいと「ものづくり環境学科」を開設。もの≠フライフサイクルを考えられる技術者をつくりたいと考えている。



記事の著作権はすべて一般社団法人全私学新聞に帰属します。
無断での記事の転載、転用を禁じます。
一般社団法人全私学新聞 〒102-0074 東京都千代田区九段南 2-4-9 第三早川屋ビル4階/TEL 03-3265-7551
Copyright(C) 一般社団法人全私学新聞