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記事2010年1月3日 2157号 (6面) 
低炭素社会実現に取り組む私学 A
フェリス女学院大学
「エコ大学ランキング」私大一位に
海外へも広がる温暖化防止活動

 丘陵地の細長い敷地に建つフェリス女学院大学(宮坂覺学長、横浜市泉区)・緑園キャンパスは、エコキャンパスと呼ばれている。シンボルは「赤い風車」。横浜・山手で開学した草創期、揚水用の風車が珍しく、「赤い風車のフェリス」と知られていた。それを二〇〇五年、風力発電風車として百五年ぶりに再現した。また、それを小さくしたのが風車と太陽光パネルで融合発電する「ハイブリッド街路灯」。
 里山の再現を目指し、二〇〇一年から学生たちが作り始めたビオトープも、いまでは地域と連携して共同作業をたびたび行い、二〇〇七年にはホタルも飛んだ。雨水は地下貯水タンクにためて殺菌ろ過し、トイレや噴水に使っている。この水は災害時には飲料水としても使える。食堂の生ゴミはコンポスト化。図書館では外壁に廃材を利用しているほか、様々な省エネ機能が取り入れられた。屋上を緑化した校舎も三棟。珍しいのは体育館の空調を担うクール(ヒート)チューブ、地中温度が年間を通して一定であることを空調に利用したものだ。クラブ部室棟の屋上には、太陽光発電、太陽熱温水器、屋上ビオトープ、西側壁面も緑化、季節ごとにジャスミン、ノウゼンカズラ、トケイソウなどが花を咲かせる。花の咲く植物にしたいと発案したのは学生たちだった。
 環境保全の施設・設備があるというだけではない。それを可視化することで、環境間題に対する意識を高めようとする工夫もある。キャンパス全体の発電量は二号館ピロティに設置されている「エコ・ビジョン」でリアルタイムに表示。学生たちの発案で、どれがどんなエコか分かるように、パネルを付けた。見学者のために、エコキャンパス・マップや「エコキャンパス・ツアー」という冊子も作った。
 こうした活動の中心になっているのは、二〇〇二年に発足したエコキャンパス研究会である。環境保護を実践的に勉強しようと発足したクラブだ。二〇〇九年九月、「エコ大学ランキング」の私立大学部門で一位となり、改めてエコキャンパスの取り組みが注目されている。
 女性にこそ環境教育をと、以前から環境に関する授業が設置されている。現在、総合課題科目の中に「地球環境ケーススタディ」「様々な観点から考える環境間題」「生き物との共生」など。国際交流学部の授業には、「資源問題」「地球環境」「持続可能な発展の環境と社会運動」「環境保全行動論」などがある。環境関連の授業はいずれも学生に人気だ。ユニークなのは「私たちが学びたいこと」という学生提案授業が毎学期、一つあり、環境関係のテーマも多くみられることだ。
 夏休みには、地元の子供たちや保護者を集めて、自然の力を体験するワークショップを実施している。環境保護意識を少しでも地域へ広げたいと始まった。自転車発電、ぺットボトルによる風力発電、太陽光を利用したソーラークッカーなどを体験してもらう。これが「地球温暖化抑制に向けた環境教育拠点の形成」として、文部科学省の二〇〇五年度現代GPに採択された。
 活動はさらに、海外へ。二〇〇八年二月、エコキャンパス研究会の学生ら五人は顧間の佐藤輝准教授と共に、海面上昇で五十年後には沈むといわれる太平洋上の島国、キリバスに向かった。目的は、太陽熱調理器の実証テスト。太平洋諸国応用地球科学委員会(SOPAC)との共同研究である。
 きっかけは、現代GPの一環として開催した国際シンポジウムでキリバスのコイン・エトゥアテイ氏が「どうか、京都議定書を守って」と訴え、学生が「現地を見たい」と声を上げたことだった。
 キリバスに到着した学生たちは、持参した太陽熱調理器でソーラークッキングをやって見せた。海抜二メートルというキリバスの大潮も体験した。「リアルさに学生たちは恐怖を覚えたと思う」(佐藤准教授)。
 今、太陽熱調理器は現地の人の手で試作が始まった。「産業化してもらえたら」、と佐藤准教授は言う。
 (注)エコ大学ランキング=環境NGO全国青年環境連盟(エコ・リーグ)のCampus Climate Challenge実行委員会が企画・実施した調査



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