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記事2010年1月3日 2157号 (7面) 
低炭素社会実現に取り組む私学 B
郡山女子大学・同短期大学部
ガス暖房等でCO2排出量26%削減
学園全体で植樹活動

 開成山大神宮のうっそうとした森に隣接する郡山女子大学・同短期大学部(関口修理事長、福島県郡山市)は、二〇〇四年十二月、教育機関では全国初の「エコアクション21」(環境省の環境経営マネジメントシステム)の認証・登録を受け、以来、二酸化炭素排出量削減、廃棄物の削減、資源(水・紙)利用量の削減、環境教育という四つの柱のいずれをも着実に積み上げてきた。特に二酸化炭素排出量では、二〇〇八年実績が二〇〇一年比二六%削減となった。
 大きく削減できたのは、暖房用燃料を重油から順次ガスに取り替えていき、ほとんどがガスに替わったからだ。
 このほか、空調は各教室・部屋ごとの個別空調にして、一括集中管理している。電気の使用量も建物フロアごとに計測・管理している。生ゴミはたい肥化。紙ゴミはシュレッダーにかけてリサイクル。水は漏水チェックやトイレ水の節水で使用量が大幅に削減できた。電池は蓄電池に替え、てんぷら油も回収している。校内のリサイクルコーナーには企業のCSR報告なども並べ、就職する上で環境も大切であるという啓発もしている。
 教育面では、地球環境の保全や緑化の大切さを理解させ、エコマインドを持った学生・生徒を育てること。その一つでもあるのが屋上菜園だ。大きさは四十五坪ほど、季節ごとに五十種類の野菜を作っているほか、陸稲(おかぼ)を作っている。発端は、関口富左・郡山開成学園長の食糧危機の到来を危惧する意見だった。陸稲は、水稲と比べて水がいらない。水不足でも作れるし、作るのも比較的容易で、遊休地の利用もできる。食糧危機の時代が来ても役立つと考え実験的に作っている。野菜も同様の想定のもとに無農薬野菜を作っている。指導には県の農業センターの職員が来てくれるので、心強い。
 陸稲や野菜を作っているのは食物栄養学科の学生たち、食糧作りから食育まで総合的に勉強している。もちろん収穫した野菜や陸稲は調理してみんなで試食する。屋上菜園のおかげで夏場の室温が二度弱低くなるというおまけも付いた。
 もうひとつ、学園全体で取り組んでいるのが植樹だ。国有林の植樹の募集に応募がないことを知り、それでは七〇%が森林という日本で国土が荒廃する、「開成学園百年の計としてやりましょう」と、福島森林管理署と相談しながら始まった。最初の植樹は創立五十周年の一九九六年の鞍手山、「鞍手山開成の杜」と名付け、学生・生徒・教職員自らでヒノキの苗木五千百本を植えた。二〇〇一年には「高土山開成の杜」にスギの苗木四千三百本を、二〇〇三年は「石筵開成の杜」にヒノキの苗木七千本を、二〇〇八年には「安子ケ島開成の杜」にヒノキの苗木五千本を植えた。同時に森林の効果について福島森林管理署の職員から学生・生徒に話してもらっている。
 下草刈りなどの作業もできる範囲で学生らが行っている。こうした林業体験は非常に好評で、中には五十年後に娘と一緒に植えた木を見に行きたいと言う学生もいる。
 鞍手山のヒノキは植樹して十三年、来年は除伐した間伐材で鉛筆を作ろうという案が出ている。鞍手山のヒノキはあと四十年弱で、そのほかのところも五十年後には木材として使えるようになる。その時、自分たちで育てたヒノキ材で校舎をぜひ作りたいという。
 授業も「人間環境学」「人間と環境」「生活と環境」などの環境関連の科目が設置されている。教授の中には、尾瀬や猪苗代湖の水質研究をしている人もいる。
 最近の話題は、東京商工会議所の「エコ検定(環境社会検定試験)」講座を開設したこと。現在七十七人の学生が受講しており、十二月には同大学を会場に五十二人が初めてエコ検定を受検する。全員合格を、と願っている。郡山女子大学・同短期大学部が二〇〇九年九月の「第一回エコ大学ランキング」で私大部門二位になったことについて「非常に励みになった」と管財部の緑川洋一部長、「来年は太陽光発電を入れたい」と考えている。



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